英語学習法


語学の達人から、英語の学習方法を学びましょう!


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第25回 気持ちを相手に伝えることのほうが絶対大切 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

文法や発音の正確さなどは、学習者が自分の発話に注意をしている時には高くなりますが、会話の内容に集中している時には、逆に低くなったりすることがわかりました。
(略) すでに間違いだと頭では分かっている「ミステイク(*AEA 注* 外国語習得論で学習者がすでに知識としては知っているがうまく使えないために現れる誤りのことをこう呼びます) 」を何度直されても、(略) あまり効果はないかもしれません。
学習者の習得が進むにつれて、こまかいところに注意がいく余裕が出てきて、全体としてはより正しい形の完全な習得に近づくでしょう。

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AEA 講師より:
学校できっちり英語を学んでこられた方だと、習った通りの「完璧な」英語を話そうとする傾向があるかもしれませんが、英語を母国語とする人たちですら文法的に間違うことは非常によくあるのですから、日本語を母国語とする私達が英語を間違うのは当然のことです。
英語を使って意思疎通をはかる必要がある場合は、正しい英語を話すことより、ご自身の気持ちを相手に伝えることのほうが絶対大切です。
それ以外の時間、つまり英語のお勉強のときは、正しく話すことに注意する時間を作ってみてもいいのではないでしょうか?
ただお勉強の時も、テンポよく会話する練習をしておかないと、いざ実践でテンポよく話すことができないので、「正しく話す練習」「テンポよく話す練習」の時間配分に気を付ける必要があると思います。


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第24回 無駄なところに労力を使わない --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

マンフレッド・ピネマンは、ある発達段階にいる学習者にそれよりずっと上の段階の文法項目を与えても習得は進まず、
今いる段階の少し上の項目について教えてやれば、習得はすすむ、という「教授可能性仮説」をドイツ語学習の実験に基づいて提案しています。
(略) 中学英語のカリキュラムでは、三人称単数現在(三単現)の -s はかなり早く導入されます。
ところが三単現の -s が実際に使えるようになるのはかなり後のことだ、ということは数多くの研究によってわかっています。
どんなにルールをはっきり知っていても、即座に実際に使えるようにはならないし、英語がペラペラの上級者でも、話す時には、けっこう落としているのです。
(略) 学習者もそういう知識を持っていた方がいい、ということです。
そうすれば、無駄なところに労力を使わなくてもよくなりますし、また不必要な期待や、期待がかなわなかったときに失望することもなくなるわけです。

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AEA 講師より:
初心者のうちは、三単現の -s (主語が He とか She などの時に 一般動詞の現在形に -s をつけることです)や名詞の数(複数形にする、a をつける)は気にしなくていいと思います。
まあ、気にしなくていいからといって、全く無視して勉強をしてしまうと、勉強を始めて2年後に「実は今まで言わなかったけど、こういう時は -s が要るんだよね」なんて 言われてもびっくりしますので、意識しておくことは必要だと思いますが。

でもこういう文法は細かいことですので、それよりも どんどんテンポよく話す練習をしていく方がいいと思います。
英語は 基本的な 単語の並べ方が ある程度 正しければ、通じます。
完璧に話すより、楽しくテンポよく話しましょう!


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第23回 言語はルールでは割り切れない --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

「言語はルールでは割り切れない」ということを知っておくことはじつは大事なことで (略) 
ルールで全て割り切れると思っていると、そうでない時にフラストレーションがたまるわけで、それで外国語学習が嫌になってしまうこともあるのです。
(略) じつは「曖昧性を容認できる」という性質が外国語学習の成功に結び付く、という研究結果もあるので、こういったことを (略) 知識として知っておくことは大事だと思います。

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AEA 講師より:
文法というのは言葉ができた後から「なんでこうな風に言うんだろう」という研究の結果だと思います。
「大体の場合、こんな風に言う傾向があるよ」ぐらいのルールです。
ですから、このルールすなわち文法通りにいかないことはありますので、そんな場合は「ふーん、こういう言い方をする場合もあるんだ」と素直に受け入れましょう。

文法通りの完璧な英文をゆっくり話すよりも、多少間違えても素早く話す練習をする方が、実際に英語で日本語を話さない人たちと話をする時には役に立つと思います。
完璧に話すより、楽しくテンポよく話しましょう!


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第22回 大人のほうが素早く学習できる --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

年齢が習得の成否に非常に大きな影響を与えるという事実は、第二言語習得研究で定説になっています。
(略) 大人がネイティブのようになるのは、ほぼ不可能に近い。

(略) ところが、1970年代後半に研究者がそれまでにあった研究を詳細に検討したところ、ちょっと違った一般化が出てきました。
それは、子供と大人を比べた場合には、「大人のほうが早いが、子供の方が優れている (older is faster, younger is better.)」というものです。
つまり、大人のほうが、発達した認知能力を使って短期的には素早く学習することができる

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AEA 講師より:
発音に関しては、幼いうちに、外国語を習得した方が絶対いいと思います。
生まれたての赤ちゃんは、いかなる言語の音も聞き取れるらしいですが、成長に合わせて、人間は不要な音を聞き取る能力を捨てていくのだそうです。
(もったいない・・・)

でも外国語の習得は、何歳からでも挑戦できると思います。
AEA の生徒さんで60代から始められる方も何人もいらっしゃいますが、こつこつ努力をされる方は年齢に関係なく上達していきます。


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第21回 英語は世界語になっている --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

英語を母語としない国民には不利な現実になっているのは確かです。
例えば、学問の世界で言えば、英語で論文を出版しないと世界的には認められないとか、(略) といったことがあります。
ただ、現状がこうなってしまっている以上、その中で生き延びていくためには、英語をある程度使いこなせるように努力をする必要はあるでしょう。
また、英語はすでに世界語になっているという現実を踏まえて、コミュニケーションの手段として習得することを目指すべきです。
またその際、不要なネイティブスピーカー信仰を捨てることも大切なのはいうまでもありません。
「ネイティブに近い英語」を目指すのは単にコミュニケーションの効率化という便宜上のことであって、それ自体に価値があるわけではないのですから。

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AEA 講師より:
私が個人的に感じているのは、英語が世界語になっている理由の一つは、英語が他の言語より簡単だから、ではないかな、と思います。
私が大学時代に習ったフランス語は、驚愕するほどの数の動詞の形や 女性名詞、男性名詞によって冠詞がかわるなど、とても覚えようという気になりませんでした。
(でも、フランス語の響きは大好きなので、いつか話せるようになれたらいいなあとも憧れています)

ネイティブスピーカーに習うことを私が個人的にお勧めする学習者は、英語を文法で学習したことのない子供や、基礎の文法を理解している学習者の皆さんです。
その他の学習者は、まずは日本語を介して覚えていくほうが絶対いいと信じています。

発音を気にされる学習者の方も少なくはないと思いますが、世界のどこかを旅行したことがあったり、あるいは世界のニュースを見ることがあれば、多様な英語の発音に気付かれると思います。
発音よりも気にすべきなのは、意思を伝えようとする心意気!だと思います。


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第20回 持続的な学習動機 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

外国語学習の動機にもいろいろあります。
(略) 学習対象言語を話す人々とその文化を理解したいと思うと、それが長期的・持続的な学習意欲につながり、ひいては外国語学習の成果につながる(略) 
(略) 一方、外国語ができれば受験や就職に有利になるとか(略) 外国語を実利的な目的を達成するための『道具』としてとらえる
(略) どちらでもよいので、いかに自分を学習動機が高まるような状況に持続的におけるかが外国語学習成功のカギということでしょう

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AEA 講師より:
上の動機に加えて「話せるようになってきた」「上達してきている」と感じることができれば、「もっと上手になりたい」と学習動機が高まると思います。
そのためにも、たくさん聞いて話す機会が必要でしょう。
具体的にどんな機会かと言うと、英会話教室で話す、英語の映画やドラマを見る、海外旅行でたっぷり話す、などが考えられますが、他にも機会はいくらでもご自身で作れると思います!
京都など観光地で、地図を広げて困っていそうな外国の方たちに勇気を出して声をかけてみるのも楽しいですよ!
(私は方向音痴なので声をかけても道案内が出来ないのですが・・・)


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第19回 文法中心か、暗記中心か --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

ウエッシュの1981年の研究(略) では、学習者にテストを行い、(略) グループに分け、(略) 文法中心の授業と、暗記中心の授業にふりわけて教えてみました。
結果は、自分の適性に合った教え方をされたグループのほうが、成績もよく、さらに、学習に対する好感度も高かったのです。
これはあまりにも当然のことなのですが、このように適正と学習法をマッチさせるという方法は教育の場ではあまりとられていないのが現状と言ってよいでしょう。

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AEA 講師より:
マンツーマンレッスンなら生徒さんそれぞれの適性に合ったレッスンが可能です。このために、マンツーマンのほうがより学習に効果的だと言えると思います。
一般的に文法の知識が役に立つように実感できるのは、ある程度の量の基本文を覚えてからだとは思います。
でも、最初のうちから本当に基本的な文法、つまり、単語の並べ方のような、文法だけでも知っておくと基本文を覚えるのに役に立ちますよ。


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第18回 膨大な数のフレーズを覚える --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

大人の学習者がネイティブのように話せるようになるには、ルールを覚えてそれを適用するよりも、膨大な数のフレーズを覚えて使いこなすことがより重要なようなのです。
(略) 我々の話すことはかなりの部分が決まり文句からなっている、という現実もあり、このような学習方略が「ネイティブらしさ」につながるのでしょう。

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AEA 講師より:
日本語で言うと、「おなかが」とくれば続くのは「痛い」とか「すいた」ではないでしょうか?
これが「決まり文句」という意味だと思います。
ですから、英語を母国語とする人たちが使っていて、なおかつご自身も使う機会があるような文をまるごと覚えていけば、「ネイティブらしい」英語が話せるようになります。
またたくさんの量の正しい英文を覚えていくと、不自然な英語にも気づけるようになります。

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第17回 例文暗記の効用 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

(1)言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。
(2)意識的な学習は、
    (a)発話の正しさをチェックするのに有効である。
    (b)(略) 実際に使える能力にも貢献する。
    (c)普通に聞いているだけでは気づかないことを気づかせ(1)の自然な習得を促進する。

(略) 文法的には正しいが「変な」文を言わないようになるにはどうすればいいか、の答えは、(略) 
母語話者は、どういう言い方が普通だという情報を、子供のころから無数の文や表現を聞くことによって身につけるわけです。つまり、(1)の方法で身につけるのです。
第二言語学習においても、(1)でかなりのことを身につけることはできます。
ですから、まず多量のインプットを聞いたり読んだりすることで何がおかしいか分かるようになるのです。
ただ、第二言語習得では、インプットの量が少ない場合が多いです(略) 
では、それを補うためにはどうすればいいか。
一つ考えられるのが、例文暗記です。
(略) よく使われる自然な文、表現を多数覚えてそれをもとに単語だけ入れ替える、ということをすれば、奇妙な文が出てくる確率はかなり下がります。
(略) 外国語学習においてネイティブに近くなった「例外的成功者」が、共通して記憶ストラテジーに頼っている、ということも、例文暗記の効用を示唆しています

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AEA 講師より:
具体的にどういうことか日本語で考えてみましょう。

例えば、「私は一つの大きいなリンゴが食べましたでした」と日本語学習者があなたに伝えた場合、おそらく意味は理解できると思いますが、これは普通な日本語ではないと思います。
ではなぜこれらが「変な」のかというと文法的な間違いがあるからです。

では「私は明日東京へ行くのだ」とあなたに向かって日本語学習者が伝えた場合、これも「変な」文です。
でもこれは文法的には間違っていないはずです。
これは、日常会話では「〜のだ」という表現は普通しないから、「変な」文なのです。(こんな表現はバカボンのパパか、難しい文学小説以外でしか私は聞いたことがありません)

でもなぜ変なのかと聞かれても、日本語を日本語学習者に教えたことのない私は、「そんな風に言わないから」としか言えません。
この「そんな風に言わないから」というのは、無数の表現を知っているからこそ言えるのです。

英語も同じでたくさんの表現を聞けば、自分の英語が変かどうか気づけるようになります。


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第16回 学習の効果 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

意識的な学習の効果としては、自然に聞いているだけでは気づかない言語項目に注意がいくため、聞き取りができるようになり、それがまた自然な習得を促進する、ということもあります。
例えば、発音で言えば、英語の、an と a の区別は、ただ聞いているだけではなかなか聞き取りにくいけれども、それを知識として習うと聞こえるようになる、ということはあります。
(略) 文法項目も同じで、例えば、John was hit by Mary. (ジョンはマリーにたたかれた)という文は、聞いているだけでは、John hit Mary. (ジョンはマリーをたたいた)と区別がつきにくいのですが、「受け身」という文法事項を学習すれば、聞き取りやすくなります。

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AEA 講師より:
意識しているかどうかで学習効率は大きく変わると思います。
例えば何百人もいる政治家の皆さんのお名前を全て覚えなくてはならない状況に置かれていたら、彼らをテレビや新聞などで見るたびに名前を意識するはずです。
でも、そのような状況に無ければ、よっぽどファンでない限り、いくら彼らの名前を目にしても、彼ら全員の名前を記憶しておくことは難しいと思います。
(少なくとも私には無理です)

上に出てきた an や a という言葉は「冠詞」と言いますが、初心者は気にしなくていいと思っています。
でも、だからと言って全く意識していないとせっかく文を覚えてもすべて冠詞が抜け落ちた文を暗記することにもなりかねません。
ですから、完璧に覚える必要は最初のうちはないけれど、意識はしておく、注目はしておく、ということは大切かもしれません。

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第15回 発話の「正しさ」に注意を向ける --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

主語が三人称単数で動詞が現在形の時に、動詞につける いわゆる三単現の -s (He walks to the store.)は、基本的な文法項目ですから、知識としてはわかっています。
それなのに、実際に話す時はなかなか使えない、という英語学習者はたくさんいます。
(略) 自分の注意が発話の「正しさ」に向けられている場合にしか、そのような知識は役に立たないということです。

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AEA 講師より:
「三単現」の -s や「冠詞」の a, the などは、わかっているけど、つい忘れてしまうことの多い言葉の代表的なものではないでしょうか?
(実際は言うのを忘れても通じることが多いので、私個人的には、英語学習初心者の方は あまり気にしすぎることはないと思っていますが)

これは「今日の英語学習では、速さより正しく話すことに注意するぞ!」と意識しない限り、忘れてしまいがちです。
では、どうすればいいのでしょうか?
「正しい英文」をひたすら口にして、その音に慣れるしかないと思います。

日本語を習っている外国の人が「日本」のことを「にぽん」と言っていたら、違和感を感じると思います。
それは「にぽん」という音に私たちが慣れていないから、つまり普段聞いたことがないから、でしょう。
(でも「にぽん」って、ちょっとかわいい響きですね)

英語も同じで、間違った文に出会った時、違和感を感じれるようになるまで、正しい英文の音に慣れましょう。
そうすれば、「He walk to store.」という英文に違和感を感じることができるようになります。
(正しい文は、「He walks to the(または a ) store.」です。)

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第14回 「インプット」と「アウトプットの必要性」 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

受容的バイリンガル(*AEA 注* 二つの言語を聞いて理解することはできるが、その一つは話すことができないという人) の置かれた状況では、インプットを理解する必要はあっても、話す必要性がない。
よって、聞いてわかるための能力は身についたのですが、頭の中で発話はしない。
そのために話す能力が発達しなかったのだと考えられます。
これらを考え合わせると、言語習得に必要な最低条件は、「インプット」+「アウトプットの必要性」ということになります。
アウトプットそのものはしなくても(実際に話さなくとも)「インプット」と「アウトプットの必要性」さえあれば、頭の中でリハーサルをすることによって、話せるようになる、という仮説が立てられます。

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AEA 講師より:
こんな話を聞いたことがあります。
アメリカ人のご主人を持つ女性(仮名ハナコさん)の話ですが、彼女は日本以外で暮らしたことがなく、英語をあまり話せません。
でも彼女のご主人(仮名トムさん)も日本語はそれほど流暢ではありません。
二人はそれぞれ自分の母国語で話をしているらしいのです。
ハナコさんが「今日晩御飯何食べたい?」と日本語で聞けば、トムさんは「I feel like Italian.(イタリア料理の気分かな)」と英語で答えて会話を成立させているそうです。
お互い外国語で話を聞いても理解できるので、無理して外国語で話す必要がないのです。
なので、お二人の外国語を話す能力は発達していないようです。

でも仮にトムさんのアメリカ人のご両親(仮名パパさんとママさん)が日本に来て暮らし始めたらどうでしょうか?
パパさんとママさんは日本語を全く理解できません。
こうなると、英語は聞くだけだったハナコさんも話す、すなわちアウトプットの必要性が出てきます。
よって、ハナコさんの英語力は大きく改善することでしょう。

では、アメリカ人の家族が いなければ英語は話せないのか?
そんなことはありません。
日本で大活躍されているあの映画翻訳家の方や、あの音楽コメンテータの方は留学経験がないと聞いたことがあります。
実際に誰かと話をしなくても、一人ででも英語を話す練習をしておけば、英語は話せるようになると思います。
英語を話すのに必要なのは、「私は英語を話すぞ!話せるようになるぞ!」という意気込みだと思います!

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第13回 インプットとアウトプット --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

受容的バイリンガルというのは、二つの言語を聞いて理解することはできるが、その一つは話すことができないという人のことです。
移民の二世、三世にはよくあります。
(略) 親は日本語で話しかけても、子供は英語で答える、という状況になるのです。
(略) 親が英語がわかると思うと、子供は英語で話すようになり、受容的バイリンガルになってしまう(略)
このような例は、インプットだけで言語習得をするのは不可能で、アウトプットも必要だという証拠だとも解釈できます。

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AEA 講師より:
インプットとは聞いたり読んだりすること、つまり受け身的な学習です。
アウトプットとは話したり書いたりすること、つまり自分で言葉を作り出す学習です。

英語をなんとか読むことはできるけど、書くことはできない、という日本人学習者は多いのではないでしょうか?
英語で会話ができるようになるには、ご自身で書いたり、話したりするアウトプットは絶対必要です。
ただ間違った英文をアウトプットしても勉強にはならないので、ご自身のアウトプットが正しいのかを指摘してもらえる環境が必要だと思います。
アウトプットの勉強のためには、例えば、英語を母国語とする友人や英会話教室の講師を探して、ご自身の英語が正しいか指摘してもらう必要があります。


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第12回 自動詞と他動詞 --- 白井恭弘(しらい やすひろ)先生 --- 外国語学習の科学 --- より

※白井恭弘先生は、ピッツバーグ大学言語学科大学の教授をされている言語学の達人です

かなり日本語ができるアメリカ人が、「この辺りにアパートがたくさん建てられましたねえ」と言ったそうですが、日本語では「建ちましたねえ」が普通です。
しかしよく考えれば、アパートが勝手に自分で建ったわけではない。
実は日本語は、誰が何をした、ということをはっきり表さない言語として知られています。動作主を言わないですませるのが好きなのです。
ですから、自動詞が非常に発達しています。自動詞で言えば、動作主には全く触れないで済むからです。
英語などは、日本語で自動詞を使うところで、受け身を使う場合が多いですが、受け身も動作主を by を使って言うこともできるので、自動詞に比べると動作主がある程度含意されていると言っていいでしょう。
他動詞を使うと動作主が完全に前面に出てきます

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AEA 講師より:
自動詞とは後ろに名詞が不要な動詞です。例えば「行く」「暮らす」が英語では自動詞です。
自動詞の後ろに名詞を置きたい場合は、必ず前置詞が必要です。前置詞とは、例えば to とか in などです。

他動詞とは後ろに名詞が必要な動詞です。例えば「好む」「持つ」が英語では他動詞です。
他動詞の後ろの名詞には、前置詞が不要です。

英語は、「誰が」「した」「何を」「どこで」「いつ」の順番で話すことが多いです。
日本語では「誰が」の部分が省略されることが多いので、「した」のが「誰が」なのかを見つけ出す作業が必要です。

具体的に言うと、日本語の「昨日東京に行きました」を英語にする場合、まず動詞を探します。この文では「行きました」が動詞です。
次に今の動詞「行きました」という行為をするのが「誰」なのかを探します。この日本文だけでは誰なのか定かではないですが、文脈によって「うちのお父さん」かもしれないし、「私」かもしれません。
ここでは「私」が「行った」ことにしておきます。
これらを英語の規則(「誰が」「した」「何を」「どこで」「いつ」)に従って並べ替えると、「私は」「行きました」「東京に」「昨日」となり、
I went to Tokyo yesterday.という文にすることができます。


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第11回 不必要なものは覚えない --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

普通の日本人であれば、(略)ポチ・チビ・タロと、ミケ・タマ・トラでは、これがそれぞれ何の動物か分からない人はいない。
「ところで英語を何年も学んできた読者の皆さん、英語で猫や犬の名前をいくつご存知ですか?」・・・その答えは簡単である。
この語学上達法では不必要なものは覚えない主義なので、「イギリスやアメリカへ行って、犬や猫を飼うとき調べればいい」と答えればいい。

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AEA 講師より:
学生のころは試験のために、覚えたくない単語や文を大量に覚えなくてはなりませんでしたが、大人になってからの英会話の勉強では、このような不毛なことは不要です。
ご自身が必要と思う単語や文だけを覚えていけばいいですし、必要だけれど覚えにくい単語や文があれば、他の覚えやすい単語や文を探して覚えやすいほうを選ぶこともできます。


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第10回会話が上手になるにはどうしたら良いか --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

本当に (*AEA 注* 外国語の) 会話が上手になるにはどうしたら良いかを、語学の神様といわれるS先生におたずねしたことがある。
(略)先生は、「いささかの軽薄さと内容だな」と答えられたが、この二つはもっとも大切なポイントなのである。
「いささかの軽薄さ」というのは、一言でもしゃべれば間違う恐れのある言語である外国語を話すには『過ちは人の常』という覚悟が必要であり、
そして、会話の生命はその内容である、というのである。
ここまで来るともう『外国語上達法』の問題ではなく、教養の問題であり、知性の問題である。
(略)人と会ってしかるべき会話をかわすためには常に準備が必要で、絶えず本を読み、政治や経済や文化や芸術に関心を持たなければ格好の話題を提供できない(略)
(略)会話をすることによって新しいことを知り、考えさせられ、喜びを得るからこそ話をするわけで、
ここまで来れば、もう外国語でする会話と日本語でする会話との間には何らの差もないのである。

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AEA 講師より:
これだけ読むと、なんだか高尚な知性がないと英会話が成立しないような風にとられるかもしれませんが、そんなことはないです。
話題は、テレビ番組の話でも、恋愛の話でもなんでもいいのです。
ただ、日本語でするのと同じように英語で会話がしたいのなら、話したい内容を準備しておきましょうね、ということです。
これが上記の「内容」の意味だと思います。

「軽薄さ」とは、外国語なんだから間違って当然、そんなことは気にしないでいいよ、という意味だと私は解釈しています。
もちろん、日本語の語順で単語を置き換えるだけでは意味は通じないと思いますが、最低限度でもいいので、英語のルール(=文法)に従って話せば多少の間違いは気にしないでも大丈夫です。


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第9回本当の意味での会話 --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

日本における英会話の持つ側面を鋭く突いた評論としてダグラス・ラミス氏の「イデオロギーとしての英会話」なる一文が、同名の評論集(晶文社、1976年)の巻頭にあるが、
その中に挙げられているエピソードはあまりにも見事に日本における英会話なるものの一側面を描き出しているので、いささか長くなるが以下に引用させてもらうことにする。
    「(略)5年前のある大晦日の真夜中、私は金沢の寺の境内で大きな鐘が鳴らされているのを聴いて立っていた。
    (略)私が巨大な鐘の荘厳な響きに耳をかたむけていると、一人の男がやって来てたずねた。
    『すみませんが、英語であなたに話してよろしいでしょうか』
    複雑な考えが私の心を充たしたが、私は『もちろんですよ』というほかなかった。
    それから彼は、お定まりの質問のリストを浴びせかけた。
    『どこから来たか』『日本にどれくらいいたのか』(略)
    彼の質問は、儀式のムードから私を押しのけ、鐘の響きから、冷たい空気の香りから私を押しのけ、(略)
    彼の言葉は、『I have a book.』と同じくらい、情況にかなっていなかった。
    彼が言ったことはすべて、真実私に向けて言われたのではなかった(略)」
外国語会話という名のもとに、よく使われる句をただとりとめなく集めた会話集から習得した文をいくら暗唱してみせたところで、本当の意味での会話が上手になるわけではない

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AEA 講師より:
似た様な話をアメリカ人英会話講師がラジオか何かで言っているのを聞いたことがあります。
彼女が日本で働いていた時、突然日本人から「英語を習っているのですが、あなたと英語で話してもいいですか?」と言われたことが何度かあり、あまりいい気持ちはしなかったそうです。
彼女は「まるで私を英語を話すロボットのように扱っている」と感じたそうです。
彼女自身も感情を持った一個人ですから、英語の練習のためだけに、話しかけるのでは失礼だと思います。
しかも彼女は英語を教えることを仕事にしているのですから、なおさらそう感じたのかもしれません。
(全ての人が彼女と同じように感じるかはわかりませんが)

じゃあ、どうやって英語を話す機会を学校以外で作れるのか??
街で困っていそうな外国から来た観光客に英語で話しかけるのはいいと思います。
その時に、例えば「京都に行きたいけど どの電車乗ればいい?」と聞かれたとしましょう。
「この電車のほうが速いですよ」なんて教えたあげた後に、「ではよい旅を!」とお別れしてもいいですが、もし相手が時間がありそうなら、
「京都行ったら、○○っていうお店に行くといいかもしれませんよ」とか「○○ていう場所はガイドブックには載っていないけど、お勧めですよ」とか相手の人が喜んでもらえそうな話をついでにしてあげればいいかもしれません。

上のように話し相手のことを考えたうえで 通りすがりの人と英語の練習をさせてもらうのは、まあアリかもしれません。
(相手の方が迷惑そうだったら、「お邪魔しました」って言って、さっさと離れた方がいいとおもいますが)

そのためには、話す内容を準備しておき、一瞬で英語にできるよう練習しておく必要があると思います。

自分の日本語で感じたことを英語に一瞬で置きかえる方法として英文の暗唱という勉強法は役に立ちます。
その暗唱した文をただ口からやぶからぼうに出すのでは「話す」ことにはなりません。
「話す」とは、すなわち「会話」とは、「内容」が伴わなければなりません。
ですから英会話の勉強には、一人でこつこつ文を覚えて、さらに、誰かと「内容」のある「会話」の練習をする必要があります


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第8回発音の習得に関して --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

外国語の発音を学ぶ場合、日本語とどう違うかをよく理解することはとても大切である。
そしてその違いがどこから来ているかを見極めて、その違いを自分で発音し分けてみないと、聞き取ることは困難である。
こと発音に関しては、いい先生につくかどうかは重要な意味を持っている。
そして、その先生自身の発音がいいだけではなしに、日本語と習得予定の言語の違いをはっきり意識して説明できる人がいい。

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AEA 講師より:
テレビのニュースや、映画やドラマなどで、アメリカやイギリスなど以外の地域の人たちの話す英語を聞いたことがあるでしょうか?
みんな各国のなまりのある英語を話します。
ですので私達日本人も、日本人なまりの英語で話しても全然問題ないとは思います。

ただ、英語を母国語とする国の中には、聞き慣れない英語は聞こうとしない方もいるようです。
(アメリカに行ったイギリスの人の英語が通じなかった、という話も聞いたことがあります)
ですので、彼らが聞き取れるような発音の練習をしておくことも必要な場合もあると思います。

また、子供が言葉を覚える時に、周りの人の言葉を真似することから始まるように、英語を母国語とする人の話している話し方を真似するのは、良い練習法でもあると思います。

英語はテキストに載っているアルファベットとは違う読み方をすることがよくあります。
これが英語が聞き取れない理由の一つだと思います。

ですので、テキストを見ているだけでは、どういう音になっているのか、わからないことが多いかもしれません。
英語には日本語にない音が結構ありますが、その違いを意識しつつ、またテキストのアルファベットのこの部分は読む必要がない、といった知識を覚えながら練習していくと、英語の母国話者の真似をするのも少し簡単になると思います。


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第7回日本語に似ているが違う音 --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

日本語にはないいくつかの音を熱心に習得しさえすれば、全体の(*AEA 注* 発音の)レベルはかなり上達することになる。
例えば英語ならthで表される子音の[θ]
(略)これらの音は、外国人がそれぞれの言語を習得するとき、意識してその発音を学ばなければならない音である。

(略) しかし、誰でも気がつく全く異なった音の習得より始末が悪いのは、日本語と似たような音があって、自分ではそれを発音して済ませていたのを外国人に指摘されて「違う」といわれ、自分はどこが違っているのかわからない場合である。
(略)日本語のザで示される子音は、語頭では[dz]であるのに、母音間では[z]である。
これは、「かり」「あみ」といった時、舌の先がどことも接触しないのに、
りがに」「ぶとん」といった時には舌の先が上の歯茎の裏の出っ張っている所にあたることで、違いが確認される。
すなわち、日本人は[z]の音も、[dz]の音も持っているのに、それぞれ違った環境で使い分けているのである。

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AEA 講師より:
普段意識せずに発音している日本語の音を判別するのは難しいです。
上に千野栄一先生が述べられている「かざり」「ざぶとん」の「ざ」の音の違いを残念ながら私はあまりわかりませんでした。。。
多少違うような気もするものの、私にはどちらも同じような音に思えるのですが。。。

私は、「ざ」よりも「ず」のほうがより難しいのではと思っています。
例えば、sides と size 、cards と cars の違いです。
これらの違いは d が有るか無いかです。
d は息を口からどっと一気に吐き出して作る音です。
なのでこれに s がついた[dz]の音も息を口からどっと一気に吐き出して作ります。

d の入っていない「ず」は、s に似た音で、息を数秒口から吐き出すことが可能です。

発音に関しては正しく発音している人の音を真似して練習していくのが一番良い勉強方法だと思います。

ただ、ほとんどの会話の場合、発音そのものも大事でしょうが、通じなければ最悪つづりで意思疎通することも可能だと思いますから、最初のうちはあまり細かいことはきにせず、いっぱい話していけばいいのではないかな、と思います。

あと、発音が通じない理由の一つは、すべての音に母音(a i u e o)をつけて発音してしまう日本語の癖のせいだと思います。
たとえば bag を 「バッグ」と発音すると bagu となって なんの意味か分かりません。
これに気を付けることと、単語の中の一番強く発音する音(アクセント)をきちんと意識すれば、たいてい通じるのではないでしょうか?


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第6回 短い語はなるべく覚えた方がいい --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

英語でも、ドイツ語でも、フランス語でも、ロシア語でも、人称代名詞とか、数詞の1から10までとか、本来の前置詞とかは、その圧倒的大部分のものが単音節である。
(略)頻度数の高い語は原則として短いのである。
こうして見ると、短い語はなるべく覚えた方がいい、という結論に達する。


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AEA 講師より:
人称代名詞=「私は、私の、私を」(I, my, me)といった言葉です
前置詞=「〜で、〜へ、〜の」(at, to, of)といった言葉です
単音節=「あいうえお」の音を一つしか含まない語。例えば、dog, cat, pig は単音節ですが、rabbit, monkey, hamsterは単音節ではありません。

千野栄一先生が上に述べられている「短い語はなるべく覚えた方がいい」というご意見に、100%同意します。
英会話ができる人とできない人の差は、単語力にあると思います。
なので、英会話をしたいなら、単語力を増やすのは絶対必要です。
こつこつ単語力を増やしていく努力ができる人が、英会話ができる人になるんだと思います。
単語を覚える作業は決して楽なものではないですが、最初のうちはなるべく簡単に覚えれる単語、すなわち短い単語から覚えていけばいいと思います。
どうしても覚えれない単語は、その単語を使って会話するのはあきらめるか (^_^;) 、同じ意味でもっと覚えやすい単語がないか調べるか、すればいいと思います。

単語を覚える時は、必ず、文で覚えましょう!!
(文とは主語と動詞、すなわち、「○○が○○した」となっているものです)
文をたくさん覚えていくと、そのうち文法もなんとなくわかるようになります。

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第5回 頻度の高い単語から覚える --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

よく出てくる単語から(略)覚えるべきである。
(略)大体どの言語のテキスト(書かれた資料)でも、テキストの90パーセントは三千の語を使用することでできている。
すなわち、三千語覚えれば、テキストの90パーセントは理解できることになる。
そして、残りの10パーセントの語は辞書で引けばいい。


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AEA 講師より:
英語学習する場合、まず最初に、なぜ英語を勉強するのか、目標を明確にしましょう!
例えば、お仕事で必要だから英語を勉強するのなら、お仕事で使う頻度が高い単語の入った文を覚えましょう。

これは普段の生活でもいえることです。
例えば、ある会社に入社して覚えなくてはならないことの一つには、取引先の社名や担当者名があると思います。
取引先の社名や担当者名を覚えないで、全然取引のない会社の名前を覚えていっても、仕事にはあまり役に立たないでしょう。
入社後に覚えるべき頻度の高い社名は、実際に覚える必要のある取引先のはずです。

とくに目標はないけど、なんとなく話せたらいいなあ、と思っておられる場合は、日記を英文で書いてみてはいかがでしょうか?
最初は一日一文でもいいので、正しい英文を習ってそれを書いていきながら、その単語と英文を覚えていきましょう。
ご自身の日記なので、ご自身の行動に沿った、すなわちご自身が使う頻度の高い語彙力がつくと思いますよ!

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第4回 三千語を覚える --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

小説や詩を楽しみ、会話もでき、その言語で手紙も論文も書けるというようになるには最低四〜五千の語が必要になり、その学習には三〜四年は必要である。
(略)使いもしない語を無理して覚えるのは、ナンセンスとしか言いようがない。
もし、辞書を引き引きその言語で書かれたテキストを読みたいというのであれば、二〜三千語で足りる
ここまで覚えれば、その言語に関しては一応の“上がり”である。


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AEA 講師より:
三千語と言われてもピンと来ないかもしれませんが、AEA で使用している教材2冊で、だいたい三千語を覚えていただけます。
教材2冊、と言われても、よけいピンとこないかもしれませんが。(^_^;)

週に一度AEA に来て、その教材2冊を平均2年から3年くらいで修了される方が多いです。 すなわち、三千語を覚えるのに二〜三年かかる方が多いです。

じゃあ週に一度勉強したら、二〜三年で三千語を覚えれるかというと、そういうことでは残念ながらありません。
なぜならこつこつ覚えていかないと忘れてしまうからです。

英会話教室に行くのは週に一回でも、行かない日にどれだけ復習できるかが、本当に本当に大切です!!

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第3回 まずは千の単語を覚える --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

ある外国語を習得したいという欲望が生まれてきたとき、(略)まず何はともあれ、やみくもに千の単語を覚えることが必要である。
(略)この千語は、どれでもいいという訳ではない。(略)
よい教科書なり自習書なら、そこにこの千語が含まれていなければならない。
(略)もし千語をモノにできれば、その言語の単語の構成がなんとなく分かるようになり、千五百にするには最初の千語の半分よりはるかに少ないエネルギーで足りるようになる。
そして千五百語覚えさえすれば、もう失速することはない。


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AEA 講師より:
ここで千野先生は「単語を覚える」とおっしゃっていますが、必ず「文」で覚えるようにしましょう!
文で覚えれば「単語の構成がなんとなく分かるようになり」ます!

英会話の勉強は最初のころが一番しんどいと思います。
でもそのしんどい時期をなんとか乗り切れば、英語のコツがわかってきて、あとは楽になっていきます。

しんどい時期をいかに乗り越えるかは、人それぞれやり方があるでしょうが、
私のお勧めは、いきなり難しいことから始めない、いきなり大量に覚えようと頑張りすぎないことかな、と思います。

マラソンに挑戦しようと思いたって、いきなりフルマラソンと同じ距離を走ったら、多分つらくて二度と続けられないと思います。
少しずつ距離を長くして練習していくのが普通のマラソンの練習法だと思います。
(違っていたらごめんなさい) (^_^)

英会話の練習もいきなり難しいことに挑戦せず、ぬるま湯につかるような心地よいレベルのものから少しずつ始めるのがいいと思います。

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第2回 少しずつでも繰り返す --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

外国語の習得には記憶が重要な役割を演じており、記憶には繰り返しが大切で、そのためには時間が必要なのである。
(略)いずれの語学上達法の本も毎日少しずつでも定期的に繰り返すことをすすめているのは事実である。
(略) 短期間に急激に習得した語学は短期間に急激に忘れるが、長い時間をかけて習得した語学は忘れるのに長い時間がかかる。


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AEA 講師より:
英語を含め、外国語を話せる人たちと話せない人たちの違いは、繰り返し覚える努力ができたかどうか、だと思います。

プロ野球選手やプロサッカー選手には誰でもなれるわけではないと思います。
でも、語学は、母国語を話せている人なら、誰でも外国語も話せるようになることが可能です。
覚えることを繰り返すことが出来さえすれば、誰でも話せるようになります。

ではなぜ話せる人が少ないのか?
繰り返し覚える努力をサポートする体制がないんだと思います。
何度でも繰り返し覚えたかどうか確認してくれる体制があれば、なんとか覚えていけると思います。
最初のころのしんどい時期を乗り越えると、英語はどんどん簡単になってきて、わかってくるので、楽しくなってきます。
ここまでの道のりをいかに乗り越えるか、がとっても大切なのだと思います。

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第1回 上達に必要なのは、お金と時間 --- 千野(ちの)栄一先生 --- 外国語上達法 --- より

※故千野(ちの)栄一先生は、東京外国語大学ロシア語科卒業され、東京外国語大学の教授をされていた言語学の達人です

人間はそもそもケチであるので、お金を払うとそれを無駄にすまいという気が起こり、その時間が無駄にならないようにと予習復習をする。
お金だけあってもだめで、時間も必要だ。もし、お金だけで語学ができるのであれば、松下幸之助氏など何十という言語を身につけられる筈である。
ところがこのような人たちは忙しくて、単語を覚えたりする時間はないのである。


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AEA 講師より:
語学でもスポーツでも何かを習得するには、お金と時間は必ず必要でしょう。
ジョギングをするにも、シューズを買う必要があるでしょうし、ジョギングに行く時間も必要です。

語学を習得するのにかかる金額は学習の仕方によって様々でしょう。
例えば、講師や学校に払う料金だったり、本代だったり、海外へ行く飛行機代だったり、あるいはインターネットに接続する費用だったり。
昔と比べると、インターネットやデジタル音声データが使える現代は、ずいぶん費用は抑えれるようになったのではないかなと思いますが。
昔の教材のテープは結構お値段がしていたような記憶があります。
今ならインターネットで無料でも英語を聞ける機会がたくさんあるので、英語学習者にはありがたい時代だと思います。

語学を習得するのにかかる時間も人によって違うとは思いますが、少なくとも2〜3年は普通かかるのではないかなと思います。
その長い期間をいかに効率よく勉強するかが、なるべく早い時間で一定のレベルにまで上達する秘訣です。

多額の費用と長い時間をかければ上達するのかというと、残念ながら金額の多さや(内容を伴わない)時間の長さはあまり関係ないと思います。
大金持ちで働かなくていいので時間がたっぷりある人たちがみな外国語に堪能でしょうか?
(私の周りには、大金持ちで時間がたっぷりある人たちがいないので、実際のところはわかりませんが。)
上達するかどうかは、結局は、学習者のやる気によるのではないかなと思います。

あと、何のための勉強なのかがはっきりしていないと、やらなくていいことに時間とお金をかけることになります。
TOEICのスコアをのばしたいのなら、英会話の勉強をするのは後回しです。
目標のスコアになって、次は会話がしたい、という目標が出来てから、英会話の勉強を始めた方がいいです。

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